トランプ氏、パリ協定離脱で反発高まる!今後のトランプ政権はどうなる?

引用:https://www.cnn.co.jp/storage/2017/06/04/14b255565342d2080ccfc3fc8fcba310/us-president-trump.jpg
トランプ氏がアメリカ大統領選から掲げている「アメリカ第一」に関して、州の政府や市が反発を示し始めました。
反発のきっかけの一つとして国際的な地球温暖化対策の枠組みである「パリ協定」を離脱するという発言は国際関係的にも非常に見過ごせないことではないでしょうか。
地球温暖化の害を排出している割合は中国と米国がとびぬけてひどい状態です。
「パリ協定」を抜けるということは、米国が地球温暖化対策をしないと宣言しているようなものです。
このトランプ氏の行動に対して、米カリフォルニア州のブラウン知事はドイツのハンブルクのコンサート会場でビデオメッセージを上映しました。
「トランプ氏はパリ協定から離脱しようとしているが、米国全体の意見ではない。われわれは一つになるべきだ」
ブラウン氏は続けて子のように話しました。
「来年9月、サンフランシスコで気候変動対策サミットを開催する」
ブラウン氏はトランプ氏が「パリ協定」を離脱すると表明した直後にニューヨーク州のクオモ知事とワシントン州のインズリー知事と「米国気候同盟」を結びました。
この同盟では、二酸化炭素の排出量を2005年から26から28%削減するなどの「パリ協定」の事項を州の同盟で目指すと表明しています。この同盟には最低でも13州が同意する予定とのことです。
これからわかるように、州とトランプ政権は真っ二つに分かれている状態と言うことになります。
このような状態でアメリカの政策は大丈夫なのでしょうか。
また、面白いことになっているのが市長たちです。
もちろん州の知事たちだけでなく各市長たちも声を上げているのですが、ロサンゼルス市のガーセッティ市長が議長をしている「環境を変える市長会(クライメート・メイヤーズ)」の会員は「パリ協定」離脱表明の時には61人でしたが、350人以上に増加してこれまで地球温暖化などに興味がなかった市長たちの心をトランプ氏は動かしてしまった形になりました。
簡単に言うと環境問題に興味をもった市長が以前の6倍ほどに増えてしまったということですね。
パリ協定とはいったいなに?地球温暖化問題を改善するための国際的枠組み

引用:https://www.nies.go.jp/event/cop/cop21/cop21-8-6.jpg
まず、「パリ協定」とはいったいなんなのでしょうか。
簡単にいうと、地球温暖化問題に対して国際的な取り決めをした協定のことです。
<パリ協定の概要>
長期目標:気温上昇を2度未満に1.5度以内へ努力
:今世紀末までに排出量を実質ゼロに
排出削減:すべての国は目標を設定し政策を講じる
:5年ごとに目標を更新し報告する
資金供与:先進国は資金を供与しなくてはならない
:その他の国も自主的な資金供与を推奨
脱退 :協定発効後3年以内は脱退を通告できない
:脱退通告はその1年後に効果を生じる
:条約を脱退した国はパリ協定からも脱退
国際的にも一二を争うほど排出量の多いアメリカが脱退するとこのパリ協定は意味をなさなくなると私は思います。
これ以上地球温暖化が深刻になると将来的に地球に人が住めなくなる可能性も出てくるかもしれません。
アニメなどで良くありますが、これが本当に起きてしまうことになります。
パリ協定以前は京都議定書と言うものだった!

引用:http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/20hakusho_h/all/img/h06_03.gif
パリ協定以前は先進国だけが「温室効果ガス排出削減義務」を課していました。
しかし、インドなど新興国の著しい経済成長で新興国の排出量も増加したことから2020年以降はすべての国が参加する新たな枠組みとして「パリ協定」が採択されました。
「京都議定書」の際にも今回のトランプ氏のようなトラブルが起こっていたようです。
クリントン政権の時は積極的に交渉していましたが、2001年にブッシュ政権に代わってすぐに不参加を表明した歴史があります。
今回もオバマ氏は積極的でしたが、トランプ政権に代わって離脱を表明しました。
しかし、規定により2020年までは離脱ができないことになっているので、そこまでに何とか説得してほしいと思います。
「パリ協定」アメリカ国内で意見が対立

引用:http://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2017/06/reuters20170602165913-thumb-720xauto.jpg
トランプ氏が「パリ協定」を離脱すると表明して多くの反発が起きていますが、中には賛成している人々もいます。
国内ではどのように考えられているのでしょうか。
<パリ協定離脱派>
・石炭産業や重工業などエネルギー多消費型産業
・地球温暖化の科学的知見に懐疑的
<パリ協定支持派>
・再生可能エネルギー、電気自動車、金融、ITなど
・二酸化炭素削減がビジネスに
トランプ氏を支持しているほうは完全に地球環境を考えておらず、「アメリカ第一主義」です。
トランプ氏はアメリカ大統領選から「パリ協定離脱」を公約として掲げていました。
それを支持しているのが、アメリカの主要産業である石炭産業や重工業産業に従事している人たちです。
一方、温暖化を深刻ととらえているのはその他の産業です。
その他の産業は温暖化対策で国際的リーダーシップを発揮することがアメリカの役目でると主張しています。
しかし、これに対して動きを見せた産業があります。それが石油産業です。
石油産業は数年前まで温暖化対策について強く反対していました。
石油はもろに地球温暖化対策と逆行する分野ですので仕方ないですね。
現在、アメリカの国務長官に任命されたティラーソン氏は大手石油関連企業の最高経営責任者だったということがわかっています。
ティラーソン氏は以前株主に向けてこのようなことを話しています。
「地球温暖化が石油会社の経営に及ぼす影響を調査し公開すべき」
この発言は株主の6割以上が支持しており、トランプ氏は自身と同じ方向を向いているからこそティラーソン氏を自身の片腕としたのではないでしょうか。
しかし、「パリ協定」離脱を表明したトランプ氏に対してティラーソン氏は反対を表明しており、トランプ政権内でも反発が出ていることがわかります。
昔と今の違い、時代が変わった!「パリ協定」離脱表明後の動き
以前の京都議定書でアメリカが離脱した際は、かなり規模が縮小したそうです。
しかし、今回はその逆で離脱を表明してから続々と支持が増加しています。

引用:https://wordleaf.c.yimg.jp/wordleaf/thepage/images/20170606-00000009-wordleaf/20170606-00000009-wordleaf-1e95e73a8dd0b0b03cf2240773a6280df.jpg
<アメリカ国内>

引用:https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-SF705_WHCLIM_J_20170223172521.jpg
・カリフォルニア州、ワシントン州、ニューヨーク州が「米国気候連合」を設立して地球温暖化対策へ賛成の意向を示しています。
・ロサンゼルス、シカゴ、ボストン、シアトルなど170以上の市長がパリ協定の排出削減目標を支持しています。
。企業からは、アップル、グーグル、マイクロソフト、ゴールドマンサックス、ディズニー、など米国大手企業がパリ協定を支持しています。
<アメリカ国外>

引用:https://i2.wp.com/free-style-info.com/wp-content/uploads/2017/06/o0320018013951321344-tile.jpg?resize=600%2C338&ssl=1
・国外ではイギリス、フランス、ドイツの3国から「再交渉には応じられない」と共同声明が発表されています。
・中国、インド、ブラジル、南アフリカなどがパリ協定を支持しています。
アメリカの反発で皮肉にも世界が一つになりつつあるかもしれません。
トランプ氏は世界を一つにするために、あえて嫌われるような行動をしているのかもしれませんね。
パリ協定離脱の理由と影響、メリットとデメリットとはいったい?
アメリカがパリ協定から離脱すると色々と影響が出てきます。
パリ協定の離脱は世界に対する打撃

引用:http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/1/e/500×400/img_1ef99cb4d186cdebfbb6e752510e5686148349.jpg
米国が離脱することで、パリ協定で設定した目標は達成できなくなる可能性があります。
中国と米国が主に二酸化炭素を多く排出しています。米国は全体の15%を排出しているため気温上昇や海面上昇、異常気象などと戦っている国に積極的に支援してきました。
離脱するということは、これらの支援を行わないと世界に発表したことになり、他の外交分野にも影響が出る可能性が出てきます。
米環境保護団体のシエラ・クラブのマイケル・ブルーン氏はトランプ氏に対してこのように発言しています。
「歴史的な間違いだ」
「我々の孫の世代は、なぜこんなことになったのかと呆然として、落胆するだろう。いったいどうしたら、世界の指導者がこれほど現実や道徳と無縁でいられたのかと」
私もトランプ氏は現実と向き合えていないと思います。
これだけ地球で異常気象が発生しており、年々気温が上昇している中でトランプ氏はその情報がデタラメだといっています。
米国国内が混乱している中で中国は絶好の機会!

引用:https://s2.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170602&t=2&i=1187226512&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED5106C
パリ協定はオバマ氏と習近平氏が妥協点を見出すことに成功して成立した協定でした。
トランプ氏がパリ協定を離脱すると表明してすぐに中国はパリ協定を順守する意向を改めて発表しました。
EUと二酸化炭素排出削減をさらに協力体制を強める方向で共同声明を発表する予定です。
欧州委員会のミゲル・アリアス・カニュテ気候行動・エネルギー担当委員は中国に対してこのように話しています。
「EUと中国はパリ協定を実施し、クリーンエネルギーへの世界的移行を加速させるため、力を合わせて邁進(まいしん)していく」
「誰も置き去りにすべきではないが、EUと中国は前進することにした」
このことからもわかるように、アメリカは世界から孤立し始めていると私は思います。
また、中国が海洋進出をして大きな力を付けてきている中で影響力のあるアメリカが孤立することは今後の世界バランスにも影響が出てくる可能性があると私は考えています。
中国の暴走を止めるためには、力を持っている米国が抑制させるしかありませんが、このままでは、米国の発言力が低下して抑制できなくなるかもしれません。
世界に影響力のある米国企業の幹部たちも落胆

引用:https://response.jp/imgs/thumb_h2/1191419.jpg
グーグルやアップル、ゴールドマンサックスなどの米国大手企業もパリ協定離脱に反発しています。
エクソンモービルのダレン・ウッズ最高経営責任者は大統領に手紙を送ったと話しています。
これだけ企業が動いているにも関わらず、トランプ氏の話も聞かない態度には今後の政権運営に大きな影響が出ると私はおもいます。
パリ協定を離脱しても米国の排出量は減少する?

引用:http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20160130001183_comm.jpg
トランプ氏がパリ協定から離脱すると表明して、環境問題が悪化すると私は思っていましたが、実際はそうではなさそうです。
以前までは石炭に依存していた米国ですが、近年では石炭よりもガス発電のほうが多いという事実があります。
また、大手石油関連企業の最高経営責任者であったティラーソン国務長官がパリ協定離脱に反対していることも大きいかもしれません。
石油関連企業は以前から新たな事業を展開しており、石油がなくなったとしても企業はなりたつと私はおもいます。
フラッキング(水圧破砕法)革命より天然ガスの生産量が急速に増加して値段が減少しました。
再生エネルギーとの組み合わせがしやすいということから多くの業者が天然ガスを好んで使用しているのが現状です。
このことからも石油に依存しなくてもよい米国にとっては、パリ協定を離脱するメリットはほとんどないのではないでしょうか。
トランプ氏のパリ協定離脱はなぜ?支持者へのパフォーマンスか?

引用:https://hdk-prod-static-contents.s3.amazonaws.com/uploads/images/paragraphs/27138/76157094-abbf-46dd-b428-b169baa5d2d8.jpg
ホワイトハウスの中でも半数以上はパリ協定離脱に反対しています。
この中には、トランプ大統領の長女で信用のあるイバンカ氏やその夫のジャレット・クシナー氏もいます。
それら勢力を押し切ってまで協定離脱を推進している勢力がいるということです。
その一人として、スティーブ・バノン上級顧問の名前があげられます。
この方は、国際社会の懸念よりもアメリカの経済利益を優先すると明確に国際社会に示すのが狙いと言うことです。
環境保護庁(EPA)のスコット・プルイット長官など社会運動に批判的な保守勢力は環境運動に対して打撃をくわえたいと思っているとしています。
トランプ氏を支持している労働者たちは、まず自分たちの仕事や生活のスタイルを一番に心配しています。
特に石炭生産地の国民がトランプ氏を大統領にした最大の支持基盤です。
私としては、トランプ氏を熱く支持している労働者の数はそこまで多いとは言えません。
その支持者のためだけにパリ協定を離脱するというのは考えにくいと思っています。
トランプ氏の本当の目的と言うのは今後わかってくるかもしれません。
パリ協定離脱、世界の主要企業は全面的に不支持!反対が7割を超える?

引用:http://www.sankei.com/photo/images/news/170602/sty1706020007-f3.jpg
米CNBCテレビがパリ協定に関して賛否の統計を取ったところ、支持者は1社もありませんでした。反対すると表明した人たちがおよそ7割を超えたことが明らかになりました。
AP通信が個人を対象に調査した結果は支持するが約29%いたそうです。
また、約半分が反対とのことです。
そして、パリ協定を離脱することで米国の評判を損ねると懸念しているかと言う調査に対しては約50%が懸念していると答えています。
個人の支持層は労働者だと思いますが、約30%と言うことで、トランプ氏はこの30%のために国際関係をめちゃくちゃにしようとしているということです。
何とか米国はトランプ氏の暴走を止めてほしいと私は願っています。
パリ協定離脱で米石炭産業は歓迎!株価はどうなった?他の業者は批判!

引用:https://ichef.bbci.co.uk/news/624/cpsprodpb/F6EB/production/_96311236_gettyimages-685585110.jpg
多くの企業が反対しているにも関わらず離脱を強行しようとしていますが、トランプ氏は離脱についてこのように話しています。
「我々がパリ協定に署名したとき、世界中は拍手して大騒ぎした。大喜びしていた。理由は簡単だ。この国アメリカ、我々みんなが愛する国が、実にひどく経済的に不利な状態になるからだ」
「向こうはアメリカを優先しない。私は優先する。私は常に、アメリカ第一だ」
私としては、排出量が世界で第2位の米国が他の国に支援するのは当たり前であると思うのですが、トランプ氏はそう思っていないようです。
賛成しているのは石炭産業だけ?
オハイオ州の石炭会社のマリー・エナジーしはトランプ政権を支持しています。
ロバート・マリーCEOもこのようにトランプ氏を支持していると表明しています。
「約束を果たしたことで、トランプ大統領はアメリカの揺るぎない価値を支え、石炭産業の雇用を守り、安価で安定したエネルギー供給を米国と世界全体で推進している」
石炭産業のロビー団体である「クリーン・コール電気のための米国連合」の会長であるポール・ベイリー氏もオバマ政権での規定は厳しかったとトランプ氏を歓迎しています。
「パリ協定から離脱するというトランプ大統領の決定を支持する。オバマ前大統領の目標を実現しようとすれば規制拡大とエネルギー価格上昇につながり、不安定なエネルギー源への依存度が増えていたはずだ」
トランプ政権は政権内もまとめきれず、企業からも反発がおこり国民の大半を敵に回している状態です。
なぜ未だに大統領として成り立っているのか私は不思議でしょうがないです。
日本でこのような事態が起こっていたら既に内閣は解散して総選挙をしているところです。
米国はあまりにも大統領の権力が強くなりすぎているかもしれません。
まとめ

引用:http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/d/3/500×400/img_d3a808df8a228597adfb27f6e13b1742356199.jpg
パリ協定は中国と米国がいてこそ成り立つ協定だと私は思います。
なぜかと言うと、全体の約40%が中国と米国がCO2排出量を占めているからです。
その一つである米国が離脱するとなればパリ協定は意味をなさなくなります。
現在は米国の企業や州、市がパリ協定の目標を国ではなく個人的に達成すると表明していますが、国際関係的には非常にまずい状態だと思います。
今後、パリ協定に離脱を撤回したとしても国際的な立場は非常に低くくなり中国とEUの発言力が大きくなることは否めません。
そして、トランプ氏は「アメリカ第一」を掲げていましたがアメリカの品位を落とした大統領として歴史に残ってしまうかもしれません。
今後のトランプ政権の動きには注目しておきたいと思います。
関連記事
ドナルドトランプ大統領の大統領就任演説からこれまでの大統領令、主な政策や安倍総理との関係!!を翻訳解説!
ついに、トランプ氏と安倍首相が会談!安倍首相のトランプ氏に対する考え方とは